⸺その大阪もんは?
創業75年、家業である「福壽堂秀信」の看板商品「ふくふくふ」です。大阪の和菓子職人の技がぎゅっと詰まった和の糕(ケーキ)で、 米粉を混ぜた生地に自家製餡を練り込み、ふわふわに蒸し上げています。「小豆」と「抹茶」、あとは季節の味がいろいろ。福が無限に続いていったらいいなということで、「ふくふく」で終わるのではなく「ふくふくふ」っていう名前を付けてます。ルーツは「商人のおもたせ」。商売人たちがお客さんのお礼に使ってたのが、うちの和菓子のはじまりです。
⸺その大阪もんのええところを教えてください。
和のアイデンティティと、時代に合わせた変化が共存してるところ。伝統を守ることは大切だけど、それだけだと、どんどん日常から遠ざかっていく。「和菓子離れ」と言われる今こそ、みんなに愛される味に進化させて伝えたいな、と。そうして試行錯誤して生まれたのが、このお菓子です。そういえば「東京の和菓子はおしゃれで、大阪の和菓子は親近感がある」って言われたことがあります。ふくふくふも、そんな感じ。気取らず片手でパクッと食べられる。大阪の和菓子たちが、もっといろんな人の日常に入っていけたらいいな。
⸺あなたにとって大阪もんとは?
実は今、2025年の大阪・関西万博を盛り上げる活動のひとつとして、大阪の和菓子屋7社と大阪緑涼高校の高校生とで「あたらしい大阪みやげ計画」に取り組んでいます。せっかくたくさんの人が訪れてくれるのだから、まちの文化が伝わる新しい「大阪もん」を開発して、世界や未来につなげたい。競合他社と手を取り合って、「競争」じゃなく「共創」をしたい。いろんな業界でそんな動きが起こればいいなと思うし、大阪ってそれがしやすい場所、できる場所だと思ってます。
※掲載時(2023年5月31日)の情報です
取材・撮影:しまだあや