⸺その帽子は?
JAの組合員向けに配られたと思しきキャップです。7〜8年前かな、確か西成で開かれていたフリマで入手しました。これも憶測に過ぎないけど、たぶん80年代前半くらいのものだと思います。もともと企業や団体のノベルティは好きで、ディグの感覚で収集していて。ピザーラのキャップも持っているけど、「いかにも感」が強すぎて結局このキャップばかりかぶっていますね。
⸺その帽子のええところを教えてください。
ツバのパイピング、デコレーションストリング、スライド式のアジャスターと、ディテールがいちいち凝っているところが気に入っています。渋い色味も絶妙で、どんな洋服に合わせても違和感がない。あと、ツバは絶対に曲げないですね。このキャップ自体が僕に個性を与えてくれる「重要文化財」だと思っているので、いじりたくない。とはいえ、トレードマークとして認識されて、人に覚えてもらいやすいのが一番のメリットかな。
⸺あなたにとって帽子とは?
コーディネートの総仕上げ、いわばキラーチューンみたいなものですね。どんな洋服を着るかは人の自由だけど、僕の場合は古いものも新しいものも、高いものも安いものも取り合わせて再定義したい。ファッションに関しても、セットリストを組み立てる作業に通ずる感覚を持っています。それにJAのロゴって、知られているようで案外知られていない。ちょうどいい塩梅で「外し」を入れて、さりげなく主張するという意味でも、セレクターやDJとしての僕のスタイルと親和性がありますね。何よりこのキャップをかぶれば、まっさらな自分から「DJ BOYFRIEND」になれる。それくらい、重要なアイテムです。
※掲載時(2024年4月30日)の情報です
取材・撮影:関根デッカオ