熱狂と混沌。あらゆる枠組みを超越して、もう一度、生まれなおす。大阪・関西万博で開催した『EXPO共鳴フェス -人間響命祭-』イベントレポート

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関戸ナオヒロ

ツッコミ

世界各国のパビリオンが展覧され、地球上で最も多くの人種が集まる場所となった大阪・関西万博で、カルチャーフェスティバル『EXPO共鳴フェス -人間響命祭-』が、5月に開催されました!

『EXPO共鳴フェス -人間響命祭-』は、大阪・関西万博テーマ事業プロデューサーの宮田裕章さんが手がけるシグネチャーパビリオン「Better Co-Being」の活動の一環として、読売新聞社が共催する大阪・関西万博公式イベント。共同企画パートナーとして一般社団法人demoexpoが選ばれ、イベントの企画・制作は『ヘンとネン』を運営する人間編集舎が担当。編集長のトミモトリエと、儀間健太さんがイベントプロデューサーとして参画しました。

既存の枠組みに収まりきらない大阪の魅力を伝え続け、これまでさまざまな場所でイベントを開催してきた『ヘンとネン』の集大成とも言えるこのイベント。「もう一度、生まれなおす。」をテーマに、大阪のまちからあらゆる人の熱量とカルチャーを集結し、日が沈み切るまで共に命を響かせた二日間を、写真と一緒に振り返ります!

前夜祭

会場は万博敷地内にあるEXPOアリーナ「Matsuri」で、最大収容人数は16,000人。これまでに数多くのイベントを打ち出してきたヘンとネンでも、類を見ない特大キャパでのイベント、いや、大祭となりました。

流木をデコレーションしたサブステージは、全国各地で開催されている音楽フェスやクラブイベントで異空間を作り上げる「阿波座ハウス」が担当。

そして、通天閣のふもとにある老舗商店街「新世界市場」から、『新世界市場屋台街』が丸ごと出店し、おでんや焼き鳥、アイドル屋台などさまざまなジャンルの屋台が集結。

もちろん『ヘンとネン』のブースも。出演者も出店者も超生命体だらけ(更にお客さんも超生命体だらけ)ということで、今まで認定してきた約150名分のティッシュやポスターを配布。超生命体Tシャツの販売も。隣では、エンゾーさんがおかきやオリジナルグッズを出店していました。

そして、今回のイベントは「河村重機」によるアートトラック(デコトラ)が会場に登場。巨大なトレーラーから軽トラ、もはやトラックではない自転車まで、ド派手なネオンやペイント、モニターが取り付けられたアートトラックが、異様な存在感を放ちます。

いよいよ前夜祭がスタート。トップバッターを飾ったのは、senda、 KENJI MARUI、TANKの3人による『DANKAI JR DJ’S』。1曲目は1970年の大阪万博のテーマソング『世界の国からこんにちは』。55年の時を超えて再び万博に名曲が響き渡りました。

続いて登場したのは、BON.井上さん。「普段はふざけた歌ばっかり歌っているんですけど、今回はガチ」と、バンド編成で登場し、この日のために作った楽曲も披露!

ステージの他にも見どころはたくさん。芝生エリアに現れたのは、demo!expoによる「EXPO酒場」のチーム。これまで全国で開催してきたEXPO酒場の名物や願いを込めた「まちごと熊手」を掲げ、神輿で練り歩きます。お祭り騒ぎとはまさにこのこと。

メインステージで流石のパフォーマンスを魅せたのは、大阪を代表するオーケストラバンド「A Hundred Birds」を率いるベテランDJ YOKUさん。ダンス、ハウス、ディスコなど多彩な楽曲で聴衆を見事にロック!

DJが終わると突如として会場の端から楽器隊「Big Mouth Brass Band」が登場。陽気な演奏とともに行進を開始すると、行列はどんどんと長く、賑やかに。

まるでパレードのように歩きながら演奏を続け、そのままサブステージに着地。見事なグルーヴで会場もハッピームード満載。

日も沈み始めた頃、前夜祭のメインステージのトリを飾ったのは『GOMA & The Jungle Rhythm Section』。

ディジュリドゥによるサウンドとリンクしながら、巨大なバックモニターにGOMAさんの点描アートが映し出され、会場はこの日一番の盛り上がりに。全身で「すごいもん体感してるわ」って思わされました。

前夜祭のラストは、遮光器土偶の衣装で登場したボーカルのケイタタさんが率いる、UFOを呼ぶためだけに結成されたバンド「エンバーン」のステージ。

UFOの召喚確率はなんと85%超えだとか。全員本気でUFOを呼び込みます。

最後は芝生に寝転がり、みんなでUFOを探します。すると……。
なんと空をジグザグに飛行する謎の光が出現。これ、マジなんです。確かに僕も見ましたから。

いよいよ本祭!屋台

5月15日、いよいよ本祭。この日も「EXPO酒場」チームがさっそく会場を神輿で練り歩きます。天候は快晴、最高のお祭り日和に。

オープニングDJは、この春から高校生になり「単四」から名前が変わった「KEI a.k.a.単三」さん。ヴァイナルを巧みに操り、大人顔負けのプレイを披露。

メインステージには落語家の桂九ノ一さん、今回のイベントプロデューサーであり、バンド「愛はズボーン」の儀間建太さんと、大阪・関西万博テーマ事業プロデューサーの宮田裕章さんが登場。「いろいろなしがらみを全て取っ払って、生まれたままの赤子のように戻ってもらいたい」と、高らかに祭りの開催宣言!

オープニングの余った尺で、九ノ一さんの十八番「南京玉すだれ」も飛び出しました。

そして、「万博でデカいことやるのが夢だった」と戦闘服の白いスーツに着替えた儀間さんが再び登場し、『愛はズボーン』のステージがスタート。

終始熱量がこもったライブパフォーマンスに、さっそく会場もヒートアップ。
音楽に導かれてか、遠足の子どもたちもフロアに。なんて平和な光景。

続いてサブステージでライブをしたのは、平均年齢13.5歳のインストバンド「Zα SAVAGE+龍成+大地」。ボイパからドラム、ギターにサックスと、メンバーがひとり、またひとりと登場し、最後は全員でジャムセッションに。「ほんまに即興?」な圧巻のライブでした。

メインステージに姿を現したのは、『BAGDAD CAFE THE trench town』。レゲエの枠を超えた楽曲は観客の心をグッと掴んでいました。

番長さんのドラムが会場に轟きました。

本祭は「踊る屋台パーティ」「超生命体バザール」「SUPERFUNCY」の3つのイベントが合体し、「超・踊る屋台パーティ」として出店もパワーアップ。カモメ・ラボによるミニ屋台は、手作りのアクセサリーや雑貨、占い、ゲームなどこどもから大人まで楽しめるコンテンツが勢揃い。

ハミージョさんが手がける歯の自衛組織「ハミガキ団」による歯磨き屋台も大盛況。
P太さん率いる、「ぬいぐるみドリーム」のパーペンターズも祭の衣装を着て応援に駆けつけてくれました。

大阪を代表するバンド・赤犬のメンバーを中心に結成された三人衆『ミクロムス』は、「ヨコワのお造り」など食べ物の歌を中心にライブ。観客の笑いもしっかり生まれたステージに。

続いてメインステージには、「ONI & SUPERFUNCY!」が登場。先ほどサブステージでライブをした、「Zα SAVAGE」のメンバーも一緒にライブに参加。ステージから早々に飛び出したボーカルのONIさんを中心にしたエネルギーに溢れるライブは、「人間ってエエなあ」と思わせてくれました。

巨大なステージには、EXPO酒場のメンバーも乱入!
ステージに乱入した宮司の格好をしたこの方、現代雅楽を主とする音楽ユニット「天地雅楽」のリーダーの久次米 一弥さんでした。
とにかく皆さん、いい表情でした!

岐阜県からやってきたロックンロールバンド『ザ・バクマイズ』。ご夫婦とその三姉妹による息の合った演奏に心打たれた人も多いハズ!

ここから祭はさらに加速!大阪レペゼンのロックバンド『DENIMS』がメインステージに上がると、お目当てに足を運んだという人の声も。ボーカルのカマチューさんを始め、オカユハツコイさんの鮮烈なギターソロなど期待を裏切らず、しっかりと会場をヒートアップ。

ライブはここからカルチャー色が全開に。『ヘンとネン』の2周年イベントでもライブをしてくれた、「DJマリアージュ&メアリースミス」が東京・中野から電撃来阪。得意のワールドJポップ(外国人が日本語で歌う曲のこと)の「AJINOMOTO」からステージがスタート。

中野区の公式ソングにもなった「ナカーノ」や、カップ焼きそばを客に配るなど中毒性のあるパフォーマンスはさすがでした。

続いては大阪アングラシーンの最深部から生まれた突然変異バンド「スーパージェットキノコ」が、まさかの万博のステージに登場。まるでアングラパーティーかの如く、グッドバイブスなライブを前に、踊らない方が難しい。

アングラな流れのままサブステージに現れたのは、背中に「電脳」のサイネージを背負った「サイバーおかん with 電脳会館」。パチンコの楽曲をメインに、観客の脳汁が溢れる唯一無二のセットリストでプレイ。

ミックスしたパチンコ音源にフロアはサイバースーパーラッキー状態。

夕方になり、お客さんも一気に増加。お揃いの白い衣装で登場したのは、大阪が誇るHIPHOPユニット「梅田サイファー」。

代わる代わるMCが登場。それぞれ個性が光るスキルに会場は興奮に包まれました。

現場叩き上げのライブ力に、観客も手を挙げて応えます。

やや西陽になってきたころ、サブステージでDJをしたのは「SAMO」さん。

普段はクラブで活動することが多いSAMOさんは、ナイスなクラブサウンドを流してフロアの盛り上がりはピークに。

ヅカデンこと「宝塚電子倶楽部」が手がけたネオンの獅子舞もフロアで躍動。

辺りは暗くなり心地良い風がふき始めた中、メインステージはいよいよ大トリ。ステージ前には大勢の観客の姿が埋め尽くします。

この日一番の歓声を受けながら、舞台に姿を現した「Tempalay」。この日に最も相応しい曲とも言える「大東京万博」を含め全9曲を熱唱。

特大のヴィジョンに映し出された円が、グラデーションのように変化し続け、最後は日の丸に。
この日最大の歓声がフロアを包み込みました。
メインステージでのライブは全て終了。司会の3人が舞台へ登場して閉会式。楽しかった二日間の祭もいよいよフィナーレ。

クロージングDJを力たのは「ALTZ」さん。日はとっぷりと暮れ、音とネオンの光だけに包まれた芝生の上で、サイケなサウンドをメイク。

デコトラならぬ、デコチャリがフロアを爆走。
獅子舞に続き、ヅカデンによるネオンのドラゴンが降臨。
すっかり暗くなった会場には、エキセントリックなデコトラの光が輝いていました。

こうして時刻は夜の9時。司会の桂九ノ一さんとBON.井上さんが登場し、二日間における祭は無事にエンディングを迎えました。

フェスの中で繰り返し叫ばれていたのが、「もう一度生まれなおす」ということ。名前や性別、肩書、一般常識。これまで当たり前すぎて考えもしなかった固定概念を一度捨てて、この日から新たな自分になる。これまで出会わなかった人や音、さまざまな出会いと響き逢えたハズ。

会場に集まったのはアングラ、オーバーグラウンド関係なく、あらゆる人種たち。おもろければ何でもありな大阪という場所だからこそ実現した「祭」と呼ぶに相応しい、混沌として濃密な二日間。万博から生まれた新しい「祭」は、これからの大阪の人と街にとってきっと、レガシーとなるに違いないだろう。

おまけ

出演・出店含め、多くの超生命体たちが祭に足を運んだ二日間。会場でのスナップを最後にまとめました。みんな最高!

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