超生命体の偏愛図鑑

桂 九ノ一 さん

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落語家/DJ
大阪市中央区在住/大阪府出身

背中で睨み合う龍と鷹。スカジャンしか着ない落語家の運命の一着

⸺そのアウターは?
高円寺の古着屋で買った50年代のビンテージ品のスカジャン。僕は身体が大きいもんで、古着じゃなかなかジャストサイズのスカジャンと巡り会えないんですけど、コレは着てみたらドンピシャ。もう、運命やと思いました。前に持ってたビンテージのんは「和紙で作ったんか!?」ってくらい生地が脆くて。着るときにちょっと突っ張っただけでビリビリ破ける。外に着て出歩けないくらい繊細な子やったんで手放しまして。この子が、今唯一持ってるの当時モンの1着です。落語家をやらしてもらってるんですけど、仕事着(着物)を脱いだら、ほんまにスカジャンばっかり着てます。

⸺そのアウターのええところを教えてください。
やっぱりなんといっても刺繍ですね。刺繍のサイズが大きければ大きいほど人気やし、一点物やから同じものは出てこない。一枚一枚が刺繍職人のセンスで作られてるんですよね。背中の鷹の羽の部分でも、羽の生えてる向きに一針ずつ刺繍してたり、系の色を細かく変えて立体感が出るようになってたり、細かい仕事が最近のとは全然違うんです。だいたい現行品の3着分のお値段で、たっかい買い物やったんですけど、欲しいモンは絶対手に入れる性分。苦労して手に入れたものをしっかりお手入れして、丁寧に使ってあげる。こういうお金の使い方が楽しいんです。

⸺あなたにとってアウターとは?
今年は真冬もスカジャンだけで乗り切ったし、古着を買い出した中学のときからずっとスカジャンが好き。理由を聞かれたらわからないんですけど、初めて買ったときにバチって自分にハマったんです。弟子入り時代はどこに行っても卒がない格好をせなアカンかったから、襟付きの服を着てましたけど、修行期間を終えて自分の好きな服が着れるようになって、それからは毎日スカジャン。もう自分のトレードマークみたいになってますわ。ついこの前、人間国宝の師匠とかが出はるTV収録に出さしてもらう機会があったんですけど、そのときは「流石に……」と思ってテーラードジャケットを買ったんです。でも、自分に違和感しかなく結局スカジャンで行きまして。どんだけ好きやねんって感じだけど、着たらちょっと無敵感あるというか、気合いが入る戦闘服でもあるんです。もし、どっかの離島とか誰も知らん場所にいくときでも、絶対にスカジャンを着てきますね。ほんまそれくらい、僕はスカジャンが好きなんです。

※掲載時(2024年5月20日)の情報です
取材・文:関戸ナオヒロ