超生命体の偏愛図鑑

塩見大地 さん

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十四才 店主(40歳)
大阪市西成区在住/大阪市西成区出身

好きを着る哲学とブルーハーツへの憧れが宿る、バファローズの野球帽

⸺その帽子は?
近鉄バファローズのベースボールキャップです。20年以上かぶり続けていて、今は3代目。初めて出会ったのは、アメ村にあった古着屋[ソウルサイド]でした。レジの横とかに掛かっていたのかな? このキャップが気になって。トリコロールカラーだから、アメカジや古着にも合いそうだな、と思ったんですよ。そしたら店主さんが「ブルーハーツのマーシーが、ライブで被ってたで」と教えてくれたんです。僕は昔からブルーハーツが大好きなので、興奮して買いました。それからずっとかぶっていて、くたびれたら買い足しています。

⸺その帽子のええところを教えてください。
実際にどんな洋服にでも合うんですよね。メッシュタイプのものもあります。当時は、日本の野球帽をファッションに取り入れている人はいなかったので、自分だけのスタイルにもなりました。今では古着として価値が上がってしまって、気軽に買える感じでもなくなってしまいました。うちの店にも、この帽子を探している人がときどき来られますが、特に大人サイズはレアになっています。今では、この猛牛ロゴは岡本太郎がデザインしたことでも有名ですが、僕は後で本を読んで知りました。

⸺あなたにとって帽子とは?
もはや自分の頭の延長というか、身体の一部ですね。何にでも合うから、わざわざ変える必要がなくなった。僕は父親の影響で服が好きになりました。今のようにビンテージに高値が付く時代じゃなくて、ギチギチにハンガーがかかったラックから自分がいいと思うものを掘り出す楽しさがありました。このキャップも、流行とかではなく自分の価値観で選んだもの。そういう意味では、父親のマインドとのつながりを感じるアイテム、といえるかもしれません。

※掲載時(2025年1月15日)の情報です
取材・撮影:山瀬龍一