⸺そのアウターは?
THE NORTH FACEの代表的なダウンジャケット「ヌプシ」の「アンダイド(無染色)」モデルです。環境負荷軽減のために、水を大量に使用する染色工程を省いた「あえて染めない」というコンセプト。中に着てるのは、MEDICOM TOYのFABRICK×GOMAのコラボで作っている、僕が描いたオリジナルテキスタイル「雪」シリーズのシャツと帽子。パンツはスタイリストの三田真一くんのブランド「I Need You Baby」のものです。
⸺そのアウターのええところを教えてください。
白く染めているのではなく、素材のありのままの状態なので、中のダウン(リサイクルダウン)が透けてまだら柄になっているところが逆にいい。機能面や着心地はもちろん、ブランドの理念やその服が作られているストーリーに惚れています。モノを選ぶ基準は、見た目以上に作っている人・関わっている人のバイブスが伝わるかどうか。そして、自信を持って着れるものかどうか。人を見る時も、見た目や何をしているかではなく、「この人ええバイブス出してるな」って、本人の輝きに惹かれます。
⸺あなたにとってアウターとは?
昔は赤とヒョウ柄が大好きだったんですよ。ディジュリドゥに出会う前はHIP HOPのダンサーとして活動していて、ファッションもダボダボのストリート系。南堀江でアパレルショップをやってた時代もありました。事故で高次脳機能障害になって、突然絵を描き出してから13年……。ずっと自分の身体や内面と向き合っている状態で、ステージの時以外は自分を飾るという意識がなくなってきた。自然とシンプルなものを選ぶようになったし、そういう服をサラッと着こなせる「肉体」を整える方が重要だなと。断捨離の本質は自分自身との調和。僕が失った記憶のかわりに新たな能力を手に入れたように、執着を捨てることで解放できるエネルギーがある。それが本来の人の魅力なんじゃないかと思います。
※掲載時(2023年5月10日)の情報です
取材・撮影:トミモトリエ