⸺そのアウターは?
昔、ファッションデザイナーや画家やタイポグラファーの友達と一軒家で共同生活をしていたんですが、その仲間たちが作ってくれたオリジナルスーツです。バンドのボーカルの衣装というより、儀間建太という人間の衣装。僕の身体に合わせてパターンから作ってもらった「みんながイメージしてる自分」になれるアウターなんです。一枚羽織るだけでパワーアップする、常にハイパーな人間でいるための戦闘服みたいなものかな。
⸺そのアウターのええところを教えてください。
着た瞬間、みんなの顔が浮かんで、耳の裏がうずくんです。左胸の裏側に、タイポグラファーの友達が作ってくれた、儀間の「儀」をモチーフにしたタグが縫い付けてあって、着る度にそこに込められた「念」がハートに刻まれる。これを着るときは、他に何もつけないで裸で羽織るんですけど、汗をかくと肌にくっついて更に一体化する感じ。毎回クリーニング出すの大変なんですけどね(笑)
⸺あなたにとってアウターとは?
透明を形にするのが僕の生き様でありモットー。空間にしろ音楽にしろ、感情とか頭の中にある形のないものを、ふと口に入れたくなるような……手で触りたくなるようなものにしたいんです。僕自身も周りの人たちによって形作られてる感覚があって。僕にとってのアウターは、いろんな人からもらった念の塊。あと、僕には「歳をとるごとに色を足していく」っていう人生のテーマがあって、10代の頃は黒い服ばかり着てたけど、少しずつ色を足してるんですよ。60歳になったらめっちゃカラフルになってると思います。
※掲載時(2023年3月27日)の情報です
取材・撮影:トミモトリエ