⸺そのご飯のお供は？
私が作っている「山家ファーム」のぬか漬けです。コロナ禍で時間ができたことをきかっけに、2020年から畑を開墾して野菜の栽培を始めました。採れた野菜をぬか漬けにして、周りの友達にお裾分けしたら大好評で……。「売れるよ」なんて言われて、2021年からタグボート大正のマルシェに出店したのがはじまり。そこから出店のお誘いをいただくようになって、ありがたいことに今や大忙し（笑）。一番好きなのはやっぱりキュウリ。ゴボウやヤーコンなどの根菜も相性がいいし、アーモンドや金柑を漬けても美味しい。ぬか漬けをカップ寿司にした「ぬカップ寿司」も人気です。

⸺そのご飯のお供のええところを教えてください。
美味しいだけじゃなくて腸内環境を整えてくれる万能な栄養食品。ぬか漬けは、他の発酵食品に比べても、たくさんの善玉菌を摂取できるんです。ぬか床は、どんなくず野菜も栄養たっぷりの食品に変えてくれる魔法の装置。ただ、手入れは重要ですね。私が熟成させたぬか床を分けて、育て方を教えるワークショップもやっているんですが、作る人の手に潜んでいる常在菌や、手入れする家の環境によって全然違う味になるんです。私は、自分がイライラしている時は触らんようにしてます。音楽を聴いたり、自分のコンディションを整えてからぬか床と向き合います。

⸺あなたにとってご飯のお供とは？
昔から料理は好きだったけど、食材に気を使うようになったのは8年前。癌になったことがきっかけでした。そこまでの悪性ではなかったし、手術で除去に成功して転移もなかった。でも、身体が思うように動かなくなってしまって。子供が2歳で手がかかる時期なのに、包丁も握れないくらい弱ってしまったんです。それから食事を見直して、ぬか漬けとか、手作りの味噌を食べるようにしたら、嘘みたいに回復して、身体も軽くなった。さらに、白髪だらけだった髪も黒く戻って、アレルギー体質や花粉症も軽くなりました。ぬか漬けって本当にすごいんですよ。食べることは生きることだなと、日々感謝しています。発酵はもちろん、腸能力ナビゲーターとして食養生を広めていきたいです。

※掲載時（2024年5月21日）の情報です
取材・撮影：トミモトリエ