23区から野田へ来た“ノダ”!東京→大阪スピード婚の決め手は十三動物病院の看板が宿す“ご利益”にあった

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関根デッカオ

ツッコミ

花盛りを迎えんとする今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか。「誰やねん、お前」ですよね。私、JR大阪環状線で大阪から2駅の野田の長屋に住まい、取材執筆業を営む関根デッカオと申します。プライベートでは散歩愛好家などと称して各地を際限なくほっつき歩き、先々で見かけた「違和感」を写真に収めて悦に入っております。

そういう行動様式が影響したのでしょう、30半ばを迎えても結婚などという人生の転機とは無縁でした。放っておくと20キロは歩き続ける人物ですから、それも無理からぬ話。周囲には「君はもう無理やね」と断ずる人もいました。そして、かような評価に反駁せず甘んじて現実を受け入れる自分も、また確かにいるのでした。

それがどうでしょう。昨年4月にある女性と突然の邂逅を果たすと、過去に例を見ないペースで東海道を行き交ううち自然発生的に婚約が交わされ、出会いから3ヶ月あまりで彼女を大阪に迎え入れて同棲を開始。「単純でよろしい」との理由から、去る1月1日に婚姻届を提出する運びになったのです。

キャプテン・ビーフハート、ないしはサイババのオマージュを野田新橋筋商店街にて

現在の妻(妻!)であるその女性は、東京23区に生まれ育った純度100%シティガールでグラフィックデザイナーのマシーミさん。和歌山県人としては否が応にもコンプレックスをかき立てられます――という話は置いておいて、彼女とは喫茶店やら、古いものが好きという極めてざっくりした共通項から、10年近くSNS上で互いをフォローしていました。とはいえ向こうは東京、こちらは大阪住まい。単なる「インターネットのお友達」に過ぎない関係だったわけです。

ただ、物事は思いもよらず動くもので、昨春彼女がさる写真投稿SNSでライブ配信しているのに茶々入れしたことを機に、事態は急展開を迎えました。コメント機能で「大阪の喫茶店ならどこそこがいい」「あそこも行っときや」と話を振ったところ「大阪に行きたくなった」とマシーミ。翌日、その姿は阪急十三駅東口にありました。どないやねん、その行動力というか衝動性。マルチか何かの勧誘を疑うべきでした。

そこから5日ほど大阪に滞在した彼女を僕は大いに歓待、つまりは相手方の気力体力の限界など知らぬまま、市内各所を連れ回しました。十三、中津、梅田、蒲生四丁目、京橋、なんば、心斎橋、空堀、中之島、そしてオレたちの野田。やりすぎですね、そうですね。ともあれ一連の情報の洪水、前向きに表現するなら大大阪プレゼンが実り、結婚という想定外のライフイベントが生ずるに至ったわけです。

前置きが長くなるのは悪いくせ。それでは、マシーミが大阪移住を決意するに至ったあの初期衝動的なプレゼンテーションをダイジェスト版で振り返りたく思います。

案内される人
マシーミ
落語好きなグラフィックデザイナーかつレトロ雑貨店・atösaki店主。東京都北区出身。2023年、慣れ親しんだ東京を離れて大阪に転居。かねて江戸落語のフライヤーや噺家の消しゴムはんこを数多く手がけ、上方演芸界にも勢力を伸ばそうと画策中。移住後は趣味の喫茶店めぐりに拍車がかかり、1日に5軒ハシゴすることもざら。
X(旧Twitter) Instagram

出会いの地としてこれ以上ない十三の街でデート開始

「復習」のスタートは邂逅の地、十三。大学を卒業した僕が、就職もせずに不遇のバンドマン生活を送っていた思い入れのある土地でもあります。

デッカオ
あら〜、初めまして。待ち合わせ場所にこんなやつ、いややったろ。
マシーミ
その再現はいらないでしょ。インスタのプロフィール画像そのままで「あ、実在する人物だな」って感じだったけど。気合い入った格好してるなとは思った。
デッカオ
後ろめたいところがないから派手もできんねん。記事がだらだらなってもあかんから、前は休んでた喫茶店行くで。もう巻きや、巻きでいかんと。こんなん言うてる時点で巻けてへんけど。
マシーミ
急ぐで〜。
デッカオ
取ってつけたような関西弁はよろしい。
全編通して同行者の手元のぶれ具合がひどいことをあらかじめお詫び申し上げます
デッカオ
お、今日はやってる! 十三が誇る名喫茶[外國船]でございます。
「階上はアンテな船室ムードが好評」(原文ママ
入店時からすでにお見送りされてしまうのがオツ
マシーミ
前回は臨時休業だったから、すぐ近くの[淀]がデッカオとの初喫茶になったけど、あそこもじゅうぶんよかった。
デッカオ
中2階の構造でおもろいもんな。でも、歓迎にあたってこの店が第一志望だったのは間違いない。ラッキーだぜ。
マシーミ
でも、まさかの横浜推し。そこは神戸じゃない?
デッカオ
おおらかでよろしやんか。ここは僕が喫茶店通いを始める端緒になった記念碑的な店なんよ。大学の先生に教わりましてね、学恩とはこういうことを指すんでしょうな。十三のリーサルウェポンやで、ほんま。
マシーミ
ややこしい繰り言はいいから注文! サービスホッケセット、いきます。
デッカオ
ホッケですよ、ホッケ。北海道の血を引くあなたにしたら、これ以外に選択肢はないのでは?
マシーミ
うわさに聞く限り魚を想像したけど、ホットケーキでした。ビジュアルもかわいい!
[喫茶なにわ][もみの木]など、いまはなき十三の名喫茶を思い起こし、感傷に浸るデッカオ
デッカオ
船大工さんの仕事を思わせる内装もさることながら、店内掲示物もすばらしいんですよね。デザイナー的にどうすか。
マシーミ
特に船員さんっぽくないキャラに目がいくけど、表裏でタッチに違いがあるのが気になる。いずれにせよ相当がに股だから膝が心配。
デッカオ
ええんちゃいますか、この立派な内装にこのゆるさ。十三という街の包容力を如実に体現してるいうか。
幸先のいいスタートを切るも、店の視線はすでに翌日に注がれていた
マシーミ
確かに。じゃ、おなかも膨れたし、ぶらぶらしますか。

スピード婚の決定打“十三動物病院の看板”の威光に屈する

東口を北上し[つばめ通り]に向かう
デッカオ
十三といっても、必ずしも歓楽街ちゃうんよね。元住民やから分かるけど、「ザ・十三」な西口に比べて東口はおじいちゃん、おばあちゃんの街って感じのローファイさがよろしい。
マシーミ
「じゃない方」なんだよね。マイルドな赤羽って感じ。
デッカオ
そんでもってこちら、[渡辺金文堂書店]。
マシーミ
店構えの貫禄がすでにすごい。
デッカオ
この平積みの極致、純然たる文化です。十三案内にあたって、ここ押さえておけば「デキる」アピールできるで。あ、この本ええやん。
ロン毛、どこ向いとんねん
マシーミ
『日本のバスカラー名鑑』! 47都道府県の路線バスのカラーリングがオールカラーでごっそり載ってる。もう立派なデザイン書だね。しかも定価1万7000円が2000円って。十三、よいとこ〜。
もちろん、道中の「違和感」探しに余念はない
デッカオ
ね! さて、続いては阪急の線路をまたいで西口、当地のヘッドライナー[十三サカエマチ商店街]近くまでやってきました。十三の西口といえば、これ。
マシーミ
ですね。[十三動物病院]の看板。
デッカオ
少なくとも正攻法なら、初対面の女性をわざわざ案内するところではない。
マシーミ
「絶対に見ておくべき」ってもったいぶって案内されたもんね。マネタイズとは真逆の未完成さがもはやかっこいいってのが第一印象。それにイヌ、ネコと続くのは分かるけど、サルって! 十三は霊長類需要が高い?
デッカオ
ツッコミも冴えるね。デザイナーの分析的な視点で語ってみてや。
マシーミ
写真の切り抜きのジャギジャギ感や大胆な配色が味わい深いし、よくよく見ると犬の口にベジェ曲線が走ってる。雑な仕事に感じられつつ、変に律儀。総じて目に止まる仕掛けだね。
デッカオ
そういうの待ってました。表通りに面した看板も同じデザインやったけど、時代の趨勢でシュッとしたのに変わってた。サルが「他」に包含されているのも無念。
マシーミ
でも、やたらビビッドなオリジナルキャラが健在なのはすてき! 青い犬、結構な大けがなのに表情が明るいのもいい。
デッカオ
このポジティブバイブスに学びたい。しかしこれだけやないで。西口は大型物件の宝庫やから。たとえばこちら。
マシーミ
シャンな男のシャンルーム! 看板職人の技がすてきだけど「シャン」が何を表すのか未だに分かっていない。
デッカオ
そこはフィーリングよ。
マシーミ
声に出して読みたい日本語だったのは確かだね。
デッカオ
香川在住のインターネットのお友達が実際に泊まったら、館内構造が複雑でめっちゃ迷子になったらしい。少なくともシャンな男はそれすら克服できる胆力、情報処理能力を備えているべきやと思う。
マシーミ
ここもすごいよね。とにかく箱がでかい!
デッカオ
現役キャバレーの[グランドサロン十三]ね。結婚パーティ候補地の最右翼。
マシーミ
見学会にも行ったけど、いい雰囲気だったな〜。東京には残っていない文化だ。
デッカオ
鏡割り、餅まき、ビールかけと一式やりたいね。ビールかけはあかんか。
マシーミ
あかんね。
デッカオ
でしょうね。それはそうと、十三西口にマシーミワークスが鎮座していたのはビビったわ。
マシーミ
はい。こちらのボウリング場の立体看板のデザインをまるっと担当しました。
デッカオ
あのときは動物病院の看板に必死やったけど、苦労の跡はどのへんに?
マシーミ
やっぱり「ボウリング」の文字だね。既存の書体じゃなく、手書きから起こしてレトロな雰囲気にして。
デッカオ
看板職人してるやん。みなさん、彼女に仕事やったってください。僕にも。
マシーミ
露骨な宣伝はいいから。たらたら歩いてたらおなか空いてきちゃった。
デッカオ
となれば、次の流れは決まったもんやね。
デッカオ
説明不要の十三名物[喜八洲総本舗]のみたらし団子にございます。
マシーミ
俵型のみたらし団子は初めてだったな。でもプロダクトデザインとしておもしろいし、食感もサイズ感もいい。パクッと完食できちゃうね。焼き加減も指定できるけど、やっぱりミディアムかな。
デッカオ
いずれウェルダンにも挑戦しましょう。ほな、今度は京橋行きますよ〜。

十三で飲めばよいものを京橋に移動して仕切り直しのどて焼き

マシーミ
時刻は正午を回って、無事に京橋に着きました。この[京屋本店]も最初の大阪ツアーで来たね。
デッカオ
京橋で足が向くのはやっぱここなんよ。昼飲みに背徳感などもはやないけど、カウンターの向こうでテキパキ働くおっちゃんらを見ると飲酒しつつも背筋が伸びる。
マシーミ
おじさん観察が趣味の私にも眼福。BGMがお客さんの会話だけってストイックさが、目の前のこれまたストイックな仕事ぶりに目を行かせるし。働くおじさんに敬意を表して、かんぱ〜い!
恐るべきスピードで供された魅惑のスターターキット
デッカオ
乾杯、サルー、チアーズ〜。って君、ウーロン茶やんか。
マシーミ
下戸だからね。
デッカオ
マシーミが下戸であると初めて知った意味でも、ここはシンボリックな店や。
マシーミ
どて焼きも初体験だったな〜。牛すじとかホルモンに抵抗感があったけど臭みもないし、しっかり味がしゅんでいてごはんがほしくなる。値段も東京価格じゃありえない。
デッカオ
ですよね〜。あまりお上品ではないけど、おでんもシェアしようぜ。
マシーミ
しゅみしゅみのリフレインや〜。それでいて上品。
デッカオ
だし飲まへんの? ほな、もらうで。
マシーミ
ほんと、だし好きよね。でも、それでアルコール摂取がチャラになるわけじゃないことは心しておいて。
デッカオ
やさしい気持ちで見守ってください。すんません〜、麦のソーダ……ってお姉さん、めちゃくちゃええサコッシュ下げてはるやん。

お姉さん:これな! ええやろ。お客さんからもうたんよ。ガハハ!

マシーミ
はよ帰ってや、その通りです。言いつけは守りましょう。
デッカオ
先は長いですしね、素直に従います。おおきに、ごちそうさまです!

京橋が誇る“文化施設”でウェディングフォトのロケハン敢行

飲酒に抑制を利かせ、次いで向かったのは京橋の懐の深さを感じ取れる「文化施設」。愛の語らいという本来的な目的を超克し、建築としてフォトスポットとして広く愛される昭和遺産の内部を見学させてもらいました。

創業から半世紀近く、変わらぬたたずまいを保つ
デッカオ
お次はラブホテルです。いや、何もラブをメイクするわけちゃうで。
マシーミ
[ホテル富貴]! レトロ趣味な私からしたら、この外観からして涙が出そう。ネオンサインも本物のネオン管だもんね、最近よく見るLEDのじゃなくて。
デッカオ
ね。
マシーミ
前回の訪問時は「ボイラー故障につき撮影利用のみ」って貼り紙がされていたけど、今日は直ってる(笑)。でも、よく考えたらフォトスタジオとしても機能してるわけで。それだけ価値のあるものと認識されてるんだな。
今日は入ったらあかん!
デッカオ
誤解のないよう申し添えておくと、前回にしてもあくまで大人の社会見学という位置づけで、出会って間もない女性とあれやこれや――みたいな意図はナッシングでしたからね! この壮麗無比、重厚長大なファサードが令和の世を迎えてもなお健在である。それだけでも、文化都市・大阪の成熟度を訴求できると考えて……。
マシーミ
話が長い。
デッカオ
失礼しました。さておき、このたびはすぐそばの姉妹店[ホテル千扇]の館内を見学させてもらえることになりまして。
マシーミ
やった〜!
「渋さ」という尺度で計れば、こちらに軍配か

ドン。

和洋折衷の妖艶な空間が否が応でもその気(どの気?)にさせる

ドドン。

オーナメントや照明など細部も抜かりがない。よく手入れされているのも分かる

ドドドン。

「ごあんない」されたくなるパネル
マシーミ
圧巻だ。
デッカオ
圧巻だ。
現代の建築資材ではおおよそ実現できないであろう豪奢な壁面装飾
マシーミ
共用部でさえこんなにお金をかけるぜいたくさ。どの時代にも当てはまらない表現というか、未だにこうもハイカラなんだから建設当時はどないやねんって思う。
デッカオ
どないやねん、ね。
マシーミ
で、このペンダントライトのレイヤー構造。蛍光灯じゃこの妖しさは出せないね。ピンク落語で有名な桂ぽんぽ娘さんが高座を開くのも納得だ。聞きに行かなきゃ。
デッカオ
そういや親への体面上、儀礼的にウェディングフォト的なもの撮らなって話あったじゃないですか。
フィルム写真もかくやというボケ味が、創業時から醸成された妖艶さをブーストさせる
マシーミ
うん、そこで妙に「体面上」「儀礼的」「的なもの」とか「柄じゃない」アピールする必要はないけど、ここか富貴で決まりじゃない?
「千扇」の名にたがわぬ扇モチーフの壁面とベロア調のソファに恍惚の表情。スモークとか炊いてみたい
富貴のような派手さはないものの、堅実な古式蒼然ぶりにうなずく
デッカオ
決まったね!

野田に帰って怒涛のファーストコンタクトを振り返る

「ええとこだっせ」の本丸を攻めるまでもなく、「ええとこだっせ」のボディブローを浴びた我々。環状線をわざわざ天王寺方面へぐるっと回り、自宅のある野田に帰ってきました。

デッカオ
なんやかんやよう歩いたわ。
マシーミ
あの5日間で大阪のいろんな街を見たけど、野田って住むにはちょうどいいんだよね。交通の便がいいのに落ち着いているというか、都会のなかの村みたいな。うちもそうだけど、長屋が多いのもある。
デッカオ
そう感じ取ってもらえたなら、野田を愛する者には至上の喜びです。JRなら大阪環状線に東西線、阪神線、地下鉄は千日前線、ややがんばって歩けば京阪の中之島線も使えるもんね。
マシーミ
市場が近いからか物価も安いし。
商店街のBGMも口ずさめるようになってきたマシーミ、もはや野田ガール
デッカオ
野菜は八百屋で買いたいもんね、豆腐しかりでスーパーじゃなしに。
マシーミ
同感です。
デッカオ
改めてどうすか、大阪住まい、それも野田という選択肢は。
マシーミ
めちゃくちゃいい。
デッカオ
そこは「めちゃくちゃいいのだ」がほしかったな。
マシーミ
関西人の無茶ぶり、いややわ〜。
デッカオ
「やわ〜」ちゃうて。ともあれ、住むべくして住んだと解釈すら。
ご近所なのをいいことにいったん帰宅し、便所サンダルに履き替えているところを見逃さないでほしい

そんなこんなで、おさらいツアーの大トリは野田の地に創業して1世紀以上、立ち飲み併設のデッカオ安息の地[赤禿酒店]を訪ねました。

「赤禿」という珍名に惹かれて、野田に住んでから5年あまり通い続けているレジェンド店

デッカオ・マシーミ:こんばんは〜。

大将にはマシーミお得意の消しゴムはんこでご登場預かります(※めちゃくちゃ似てる)
大将
おう、どないしたんや。ミャクミャクみたいな格好して。
デッカオ
そういう日もあるやないですか。とりあえずグリーンラベルのロングで。
大将
何を変なとこに気ぃつかってるんや、ガハハ。
デッカオ
体型維持とかね、いろいろあるでしょう。グラムロックスターなんで。
マシーミ
私、カルピスで。
デッカオ
あ、そうでしたね。はい、かんぱ〜い。
マシーミ
かんぱ〜い!
デッカオ
ほな、おでん選ぼか。大将、たけのこ、大根、じゃがいも……あと、豆腐。
大将
はいよ〜。切るからちょっと待ってや。
マシーミ
おでんはここが基準になっちゃった。
食べやすくカットしてくれるホスピタリティ!
大根、玉子、厚揚げといった定番から、きくらげ天、ささがきごぼう天といった変わり種まで揃う
北海道にルーツを持つからか、いも類に目がないマシーミ。ロバート・キャパはだしの同行者もおでんに夢中
デッカオ
酒屋さんゆえ酒が安くて豊富なのは当然として、ここのおでんはほんまうまい。
マシーミ
なんだろね、やっぱりいろんな具材が入ってるからかな。だしが奥深い。
デッカオ
ほんで赤禿さんといえば、これも。手づくりチューハイです。都度、甲類焼酎を能勢サイダーで割ってくれる。食事の邪魔をしないのが非常によろしい。
マシーミ
たまに上澄みだけもらうけど、調子に乗って飲みすぎるのも分からなくない。
デッカオ
飲めないって分かったうえでお連れしてすまんのう。
店の愛され度と歴史が一望のうちに
マシーミ
常連さんとの会話が楽しいし、むしろ下戸にしたらありがたいよ。確か初めて会った日もここに来たよね。
デッカオ
そうです。一定の信頼が置ける人物と分かれば、そういう流れになっちゃう。私なりの愛情表現と受け止めてくれ。
マシーミ
ここでデッカオと常連さんのやりとりを見て、社会性のある人だと判断できた。
デッカオ
どんだけ警戒されとってん。大将! 社会性ですって!
大将
おお、そうか。よかったやんか。ほんま大切にしたりや(ニヤニヤ)。
マシーミ
頼むで、ほんま。
デッカオ
ほんま。
マシーミ
まあまあ、改めて出会いから今日までを復習できてよかった。自分でも驚きのスピード感だったけど、大阪行きの選択は間違いじゃなかったんだなって。
デッカオ
なんかええこと言うやん。
マシーミ
都民から府民に、お友達から夫婦に変わりましたしね。
デッカオ
ひ〜、武者震いするわ。初心を忘れず、夫・ザ・ベストを目指して尽力します。今後とも末長くよろしくお願いします。
マシーミ
お願いします! 大将、おおきに!
デッカオ
「おおきに」、いただきました〜。
やや疲労の色を隠せぬまま、どうにか口角を上げる筆者

“振り返りの振り返り”でお開き!

何やら〆に向かいそうな雰囲気を漂わせながら、ここで終わらせないのが関根デッカオという男。一連の復習の道中では、こんなシーンもありました。

十三ではお隣の影響か、どこか酩酊気味な「パピョン」を発見。

京橋[純喫茶スワン]ではマシーミの機嫌を取るべく別腹ナポリタンを食し、

「ここのナポリタンは独特の香ばしさがあって、満腹だろうと頼んじゃう」(マシーミ)

さらにJRの駅構内では、グラフィックデザインのいち領域をなす(諸説あり)「駅員さんがんばりました系」掲示に律儀に反応。

唐突な「和歌山で遊びたいな」に当惑の表情を禁じ得ない和歌山県人(左)

我らが野田に帰ってきてからは、生活感の演出にも精を出しました。街に溶け込みたいもんね。

播州のかりんとうが気に入ったというマシーミ。もちろん格安
最後に持ってくる写真もやはりぶれていた

というわけで、早足で駆け抜けた新婚振り返りツアー。東京から大阪に異性を呼び寄せたいみなさんにおかれましては、ぜひとも参考にしてもらえると幸甚です。たぶん、オチる(個人差はあります)。ちなみにいま、私の横ではマシーミが「情報の用法用量はよく理解したうえでどうぞ」と申しております。

彼女との出会いからようやく1年ほど。世に言うスピード婚だけに折々に邂逅の喜びを噛み締めながら、大阪の街をともに彷徨しながら、さらには情報の用法用量には気をつけながら、世に言う幸せな家庭を築いていけたらと思います。

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