街の日常を挟んで、勝手にご当地サンド。布施商店街1泊ツアー[後編]

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しまだあや

ツッコミ

大阪蛇行案内、布施編。商店街の中にある[セカイホテル]をお宿に、1泊2日でまわります。5箇所ほど案内を……と思っていたのに、初日ですでに8箇所、翌日も8箇所。まちの魅力の多さと、筆者の好奇心散漫さゆえに長くなりまして、前編・後編に分けてお送りしてます。

ということで、後編スタート〜。あ、ちなみに2年前のエピソードですが、すべて2023年現在も変わらずな魅力100%なんでご安心を。タイムラグの理由は前編をご参照あれ〜。たいしたことない理由やけど。

前編はこちら

案内される人&筆者
しまだあや
関西拠点、フリーのエッセイスト。ソーシャルデザインに10年間取り組んだのち、独立し、作家活動スタート。その他、企画から司会まで、なんでもやりたがる。感受性が爆発しすぎて、取材時にすぐ泣く。家の94%を開放するという変わった暮らし方をしている。得意技は愛すること。
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そして翌日。

あやめちゃん:朝だよ〜〜〜起きて〜〜〜〜。

まじで9時に迎えに来てくれたあやめちゃんを、先に起床した撮影者が迎え入れ、ほんまに起こされている瞬間の、ガチ写真。

しまだあや:いやーー、まじで来てくれるとは。

あやめちゃん:うん。だって約束したもん。

しまだあや:嬉しい、めっちゃありがとう。最高のモーニングコールやったわ。

あやめちゃん:朝ごはんの会場、決めた?

しまだあや:うーん。決めてない。

あやめちゃん:[池田屋珈琲]にしたら? あやめのお店からめっちゃ近いで。たまご入ってるサンドイッチ、おいしいよ。

私が着替える間、中で遊んでいるあやめ氏。

しまだあや:よし、準備完了でーす。案内お願いしまーす。

あやめちゃん:はーい。

早い早い。

あやめちゃん:あ、ローソン寄る?

しまだあや:え、なんで??

あやめちゃん:おすすめのパンあるねん。

しまだあや:え、今からサンドイッチ食べるのに??(笑)

あやめちゃん:あ、そっか。うーん、でもあやめだけ自転車やったら大変やから、一旦ここに置いてくわ。

しまだあや:え、ほんならなんか買ってこよかな。どうせ明日のごはんにもできるし。

布施まったく関係ないけど、おすすめのパンです。

しまだあや:まだ朝やから、閉まってる店が多いね〜。

あやめちゃん:うん。でもお花屋さんは開いてる。

しまだあや:お花屋さんの朝は早いもんな。

あやめちゃん:ここだよ〜。じゃあ、あやめはお店に戻るね。

しまだあや:ありがとう。またあとで顔出すわ。

ということで、[池田屋珈琲]へ。あやめちゃんも言っていた、たまご入りのミックスサンドをチョイス。「焼き卵と煮抜き卵、どちらか選べます!」と書いてある。煮抜きってなんだ……?

聞いてみると、「ゆで卵のことです」とのこと。関西弁のひとつらしい。関西人やのに知らんかった。

ゲーム機のテーブル、テンション上がる。

そして嬉しいことに、コーヒーのおかわりが3杯まで自由。セルフサービス。

ここで、気になることが。「ごちそうさま」と席を立つお客さん達のうち、出入口とは逆の方へ消えていく人がちらほら。とっても不思議だね。どっかに吸い込まれてるの?

ということで、お会計のあと、私も逆へ歩いてみる。すると。

なるほど、裏口があるんだね。常連さんは、こっちから出入りしてる人も多いらしい。

さて、チェックアウトの時間もあるので、荷物をまとめに、一旦お部屋に戻る。商店街、ちょくちょくシャッターも上がりはじめてる。しかも、お部屋の斜め前、昨日は閉まってたけれど、開店待ちで並んでる人がいる。気になる〜。

[七味唐がらし こぐま]、なんてそそられる名前なんだろう。くまちゃんの看板も大優勝。

近寄ると、その人の好みに合わせた配合で、オリジナル七味を作ってくれるお店でした。これはいいな……。

私もひとつ、作っていただくことに。山椒が好きなので、山椒多めでオーダー。

チェックアウトを済ませて、またまた商店街をふらふら。何往復目やろう。

でも、不思議と飽きない。来たとき閉まってたお店がやってたりするし、昨日も開いてたところでも、「おはようございまーす」と言えば「おはよう〜! 今日はどこ行くの?」みたいな感じで、話してくれる人が多い。

あ。ここ、昨日の夜に[三笠屋酒店]で教えてもらったコロッケ屋さん、[肉のやまじん]だ。ひとつくださーい。

あと2つくらい、コロッケ情報あったな。「食べ比べしてみ」って言ってた。よし、そこも行こう。まずは、[洋食の店 紀の国屋] 。コロッケ1つ、テイクアウトでお願いしまーす。

えー、次は……と歩いていると、急にいい香りがして、上のほうから「塩パン、ただいま焼き立てです」と声がする。見上げると、パン屋さんの外にスピーカーがついていて、そこからお店のお姉さんが、パンの仕上がりを道路に向かって実況中継していた。なにこれ、おもろ。

看板を読み上げる。[金太郎パン]……あ、朝食会場で選べるもうひとつのお店だ。今回は[池田屋珈琲]さんを選んだけれど、せっかくだから、ここのパンも買ってこっと。

そんな感じで、左手にコロッケ。右手にパン。……これは、コロッケサンドができちゃうのでは……? 

ということで本日のお昼ごはんが決定しました。「布施のコロッケ大集合! 食べ比べコロッケサンド」です。

そうと決まれば、もうちょっと挟むものがほしい。野菜とか……確か、商店街の真ん中あたりに八百屋さんがあったな。

挟めそうで、包丁とかなくてもいけそうなもの……よし、きみにきめた!

そして、商店街を抜けたところに3つ目のコロッケ屋[焼肉のマルトヨ]も発見! 三笠屋さんからすぐだ。昨夜は気づかなかったな。

こちらも市外局番なしの看板。まちに昔から愛されている証拠だよね。コロッケ、ひとつくださーーい!

お、キムチ屋発見。……うーん、コロッケサンドには主張が強いかなあ。でも、キムチ好きなんだよな〜。

ひらめいた。いつも近鉄電車で大阪行くとき、布施の次が鶴橋だから、パンを路線に見立てて、パンのはじっこにちょっとだけ添えよっと。コンナムルキムチ、チュセヨ〜〜。

材料が揃いました。どこで作ろうかな。切ったり焼いたりはしないものの、ちょっと座れるいいとこないかなー……ときょろきょろしながら、また商店街を戻る。もう、何往復目か数えられんくなった。

お店の人:なんか荷物、めっちゃ増えてるね!(笑)何買ったの?

しまだあや:七味と、三つ葉と、パンと、キムチと、あと布施にあるコロッケ、3種類! 今から「布施コロッケサンド」を作るんです。

お店の人:すご!(笑) 

そっか、気づいた。何往復もしてるけど、一度も同じ目的で歩いてないから楽しいんだな。目的が違うから、視点が変わる。会話も変わる。

そうして結局、泊まった部屋の前、七味屋のおばあちゃんとこまで戻ってきた。

しまだあや:ただいま〜。

おばあちゃん:おみやげたくさん買えた?

しまだあや:はい。それで今から、布施のコロッケサンドを、かくかくしかじか……あ、もしよかったら、ここのベンチちょっと借りてもいいですか?

おばあちゃん:うんうん、ええよ。座ってって。

しまだあや:やったー。ありがとうございます。

[金太郎パン]のパンに、[木下青果]の三つ葉、[紀の国屋]・[やまじん]・[マルトヨ]のコロッケ3種挟んで、キムチをはじっこに添えて……[こぐま]のおばあちゃんの七味も少しかけよーっと。

おばあちゃん:え〜、パンにかけておいしいかしら?(笑)

しまだあや:わからない!!(笑)

おばあちゃん:どう?

しまだあや:めちゃくちゃおいしい!!!!!

ここまで来たらもう、布施のフルコースを堪能して帰りたい。昨晩、時間切れで行けなかったセカイホテルの大浴場こと、[戎湯]さんへ。

ふあー、いい湯だった。レモンサワーとか飲みたい! 昼間っから飲めるとこ……あるある、あるよ! ただいまーー!

お客さん1:お! ほんまに来たやんか!

しまだあや:わ! ほんまに居はるじゃないですか!

お客さん1:おっしゃ、1杯おごったるわ!

しまだあや:まじですか! うれし!!

最後、なぜかレモンサワーをおごってくれたお客さんが「帰り道わかるか?」と、駅まで案内してくれた。もう何往復もしたから、本当は道、わかってるんだけどね。

でも、おじさんが教えてくれる商店街の情報は、私が何往復してもわからなさそうな話が、いっぱい、あった。

突如案内人と化す、たくさんのまちの人と共に、蛇行に蛇行した大阪・布施。すっぴん、ジャージ、両手にいっぱいの買い物袋で、商店街を行ったり来たり。

旅は旅でも、このまちの日常生活を、ちょっと体験できた1泊2日でした。またすぐ、来るね!

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