超生命体の偏愛図鑑

YMD(dafutpt) さん

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デザイナー
阿倍野区在住/タイ出身

犬を愛でるように車体を眺める。時代を象徴するサーブのデザイン美

⸺その乗り物は?
スウェーデンの自動車メーカー「SAAB(サーブ)」のミニカーと僕が描いたイラストです。自分たちのスタンスで車づくりに取り組むサーブの姿勢が好きでしたが、経営不振になり、他の自動車メーカーに売却された後、2011年に経営破綻。2017年にはブランドが消滅してしまいました。今でもサーブのドキュメンタリーや、記事を見ると泣いてしまいます。あと、『ドライブ・マイ・カー』の映画化には驚きましたね。主人公の愛車として「サーブ900ターボ」が出てくるんです。奇しくもサーブが倒産した10年後の2021年に映画が公開になり、再び注目されました。

⸺その乗り物のええところを教えてください。
デザインです。この車、ちょっと丸みを帯びていてかわいくないですか?車体後部のカーブが特に好きで、コックピットのデザインもたまりません。僕は、犬を愛でるような感覚で車を見るんです。かわいい犬を見るイメージに近いかも。サーブを眺めていると、どこかほっこりするんですよね(笑)。僕はオタクで、アニメやゲームも大好き。『涼宮ハルヒの憂鬱』とか『らき☆すた』など、アニメがきっかけで日本を好きになって、日本に住んでデザイナーとして手に職をつけたいと考えたんです。母国のタイで工業デザインを勉強し、東京でのワークショップ参加を経て、本格的にデザインを学ぶため日本へ来ました。

⸺あなたにとって乗り物とは?
車は人生を動かすアイテムだと思っています。その時々の時代の象徴だと感じますね。ラリーレーサーの父の影響で、自然と車が好きになりました。車のパンフレットも好きで、見かけたらついつい手にとってしまいます。作り手のこだわりを感じるんですよ。そしていつかは、マイカーを購入したいです。実は最近、大好きな自動車業界からデザインの仕事のオファーがきたんですよ。その仕事も頑張っています。車に関わるデザインやイラストの仕事に、積極的に挑戦していきたいです。今後は、いろんなジャンルのクリエイターの人たちとコラボレーションして、おもろいことをやります!

※掲載時(2024年5月20日)の情報です
取材・文:南野義哉/撮影:トミモトリエ