超生命体の偏愛図鑑

ありたにあや さん

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coffee ali MASSE 店主(33歳)
柏原市在住/西成区出身

中学時代、何度も練習した文字「ん」から生まれたキャラ入りロゴ看板

⸺その看板は?
私がやってるカフェ「MASSE」の看板です。このロゴはアラビア文字とタイ文字の要素を入れて、デザインしました。親が習字の師範で、幼稚園から習字に通ってたのもあって、昔から字を書くことが好きで。お店の中のメニュー看板も、フリーハンドで、レトロな喫茶店のフォントっぽく書いてみたり。お客さんにも「いいね」って言ってもらうことが多くて、嬉しいです。

⸺その看板のええところを教えてください。
「MASSE」のロゴの下にいるキャラクターかな。「ジョセフ」っていう名前なんですけど、実はこれ、私が中学生の頃に、うまく書けずに何回も練習したひらがなの「ん」から生まれてて。私、ボーッとテレビ見ながら、その音声から拾った単語を広告の裏紙に書きまくるクセがあるんですけど、「なんかこの字しっくり来ないな」って思ったら、その字ばっかり書いて練習するんです。で、その代表的な文字が「ん」。当時はギャル文字が流行ってたから、「ω」みたいに書いてたんですけど、途中で「あれ、なんか顔みたいだな」って思って、ふと目と口を描いてみて……そうして生まれたのが、この「ジョセフ」です。

⸺あなたにとって看板とは?
まちの看板を見てると、すぐ「なんでそのフォント選んだんやろう?」って考えてしまうんですよね。手書きは特に性格が出るから、「自由な人なのかなあ」とか「前に出るのは得意じゃない、支えるタイプの人かも?」とか。看板からの人間観察。なんやったら、文字自体が生き物みたいに見える。看板の文字も、紙に書いた文字も、みんな動き出しそうで。ジョセフもそうやし。だから、私にとっては「一字」じゃなくて「一匹」っていう感覚。一匹一匹が面白くて、美しくて、空想が広がる。だから、今でもどっか隙間があったら、すぐ文字を書いてます。

※掲載時(2024年5月24日)の情報です
取材・文:しまだあや/撮影:トミモトリエ