⸺その発明品は？
どこでも歯磨きができる「パブリック歯磨きスタンド」です。本業は歯科医師なんですが、公衆衛生のアップデートをしていきたいなと思い、誰もが自分の歯を守るために入団できる歯の自衛組織「ハミガキ団」を立ち上げました。野外フェスやマルシェの会場で「フリー歯磨き」の出店をしたり、使い捨て歯ブラシをいろんなお店に配布して、「歯磨きができる店」をGoogleマップにまとめたり、歯の健康に関する啓発活動行っています。

⸺その発明品のええところを教えてください。
今って喫煙者が減って、灰皿スタンドの需要がなくなってきてるんです。だから、不要になった灰皿スタンドを改造して、歯磨きができる泉みたいなイメージで制作しました。5年ほど前の研修医時代からこの活動を続けてるんですが、1日店長ができるバーで「歯医者バー」を開いた時に、「明日歯医者に行きます」と言ってもらえたことが嬉しかったんですよね。歯医者や歯の治療に対して強い恐怖感を抱いている人ってかなり多くて、なんとなく遠ざけてしまっている。歯医者に行く前に気軽に相談できる場所があるだけで、自分が治療しなくても虫歯が減るきっかけを増やせたら。歯磨きは人生を変えられるものだと思っています。

⸺あなたにとって発明品とは？
歯ブラシは生きるための必需品であり、原始的な道具。それだけに留まらず、身近なものだからこそ楽しめるおもちゃになればいいし、コミュニケーションの道具になればいいなと思っています。僕は非喫煙者なので、喫煙者同士のタバコミュニケーションにちょっと憧れがあったんです。喫煙所のような歯磨き所を増やして、歯磨きコミュニケーションを広げたい。歯ブラシ一つで人と仲良くなれるような……。僕の目指すところは歯磨きのインフラ化です。

※掲載時（2024年10月28日）の情報です
取材・撮影：トミモトリエ
文：オカジマアヤノ
協力：Chokett