⸺その髭は?
16歳の頃、人と違う特別なことをしようと思って、髭のデザインを始めました。そこからどんどん形が増えていって、今では15種類くらいのデザインがあります。分かりやすいのは、国や地域、民族の特徴を柄にして表現したシリーズ。メキシカンスタイルやイギリススタイル、僕の故郷のイタリアンスタイルとかね。今のデザインはフランスっぽいイメージで、あまり細かく線を入れないシンプルなスタイル。他には、映画をモチーフにしたり、「未来」みたいな抽象的なテーマのものもありますね。これまで、同じことをやってる人を見たことはないですね。ヘアスタイルじゃなくて髭で表現したのも、普通はイヤだと若い頃から思っていたからでしょうね。
⸺その髭のええところを教えてください。
僕は、ビジネスでもプライベートでも、インパクトが大事だと思っていて。実際、髭で僕のことを覚えてもらえるし、それでうまくいったことは何度もありますよ。「ロマーノだ!」ってすぐバレるから、悪いことはできないけど(笑)。一番スペシャルだったのは10年くらい前、沖縄の空港で安倍晋三総理大臣(当時)を見た時、握手させてもらったことがあってね。安倍さんも「びっくりした、どこの国の人ですか?」って前のめりで聞いてくれました。街を歩いていたら、床屋さんに「どこで剃ってるんですか? すごいですね!」って聞かれることもあります。プロも驚いてくれてるんです(笑)。でもね、20年以上やってるから整えるのにはもう慣れていて、コンビニで3本セット300円くらいの顔剃り用のカミソリで、完璧な仕上がりにできます。そうそう、髭に合わせてその日の服や色遣いを考えるのも楽しいですよ。
⸺あなたにとって髭とは?
父親から受けた影響の大きさを象徴するものでもありますね。父はピザ職人だったのですが、彼も普通が嫌いで、特別なピザを作るのが好きでした。コーンとかお肉とか、イタリアではあまりピザに使わない食材で、お客さんを喜ばせていました。それを見て、僕も似た性格になったんだと思う。父は明るくて、ずっと笑ってる人。遺伝子そのものが笑ってるタイプなのかも(笑)。だから、髭の形を変えたときも、親からは止められなかったし、むしろ「いいね!」って言ってくれた。もし髭のスタイリングをやってなかったら、全然違う人生だったと思う。性格もファッションも、もうちょっと保守的な感じだったかも。髭で自己表現をしたのが始まりだったけど、逆にこの髭に性格を変えてもらった部分もあるんじゃないかな。
※掲載時(2026年9月24日)の情報です
取材・文・撮影:山瀬龍一





