⸺そのアートは?
ディズニーのコンピレーションアルバムです。私はレコードは聴かないのですが、アートとして店内に何枚も飾っています。子どもの頃、毎週日曜日にテレビで放映されていたディズニーアニメに夢中で、それが私のアメリカ文化との出会いでした。単純にストーリーが好きというより、世界観に強く惹かれましたね。当時の作品で描かれているのは、身の回りでもよく起こる出来事や会話。犬と暮らしていたからか、動物のキャラクターで描かれていると、自然と身に入ってくる感覚がありました。キャラの表情や、しっぽを振るような動きが大好きなんですよね。
⸺そのアートのええところを教えてください。
今では出せない色をしていますよね。紙やインクが違うし、印刷も現在の機械では出せない粗さがあるから、一目見ただけで古いものだと分かります。毎年3回、お店の商品の買い付けのためにアメリカに行っていて、スリフトストアも巡るのですが、こういうレコードは店の端の棚にあっても、すぐに見つけてしまいます。レコード屋さんやアンティークショップではなく、ガラクタの中から掘り出すのが楽しいんです。今は権利などの関係で、ひとつのグッズに複数の作品のキャラクターは入れられないそうですが、これは1枚にたくさん入っていて最高です!
⸺あなたにとってアートとは?
子どものころの気持ちを思い出させてくれるものです。初めて買ってもらった本は、「ピーターパン」と「不思議の国のアリス」が収められた一冊でした。小学校に上がるとき、東京に住んでいた祖父がミッキーマウスの靴下を買ってくれたことも覚えています。こういうテイストの絵を見ると、あの本を思い出し、眺めているだけでやられてしまいます(笑)。アメリカが好きで、服や雑貨を買い付けてお客さんに届ける、という仕事を長年やっていますが、振り返ると「なるべくしてなったんだな」と思わされますね。
※取材時(2024年12月19日)の情報です
取材・文:山瀬龍一