
こんにちは、ATAKEです。
JR西日本SC開発株式会社 未来価値創造部が展開する音楽プログラム「ONDO LAND」。その初回イベントとして、2026年3月28日(土)に「WIRED CAFE ルクア大阪店」で『NOT BGM – Music With a Background –』が開催されました。
「ONDO LAND」は、大阪・関西万博レガシー事業「EXPO酒場」から生まれた音楽コミュニティです。終電後のJR大阪駅構内を舞台にした一夜限りのDJイベント「OSAKA STATION RAVE」を経て、公共空間やユニークベニューを舞台に実験的な音楽体験を共創するプロジェクトとして再始動しました。
終電後の大阪駅がダンスフロアに! クラブの原点を思い出す、一夜限りの「OSAKA STATION RAVE」潜入レポート
2026年10月12日(月・祝)には、大阪ステーションシティ5F「時空の広場」で次回企画が開催予定です。今回はその前に、初回イベントの様子を振り返ります。
気になったレコードが、カフェのBGMになる

初回企画の会場は、LUCUA 7Fの「WIRED CAFE」。メンズを中心に、トレンドファッション・雑貨を取り揃えるフロアにある、買い物の途中で寄れるカフェです。
イベントは二部構成で、昼は、レコードと出会うCAFE TIME。 夜は、DJの音を身体で受け取るNIGHT TIME。昼のCAFE TIMEは入場無料で、WIRED CAFEが1日だけのレコードカフェになっていました。

会場の一角には、大阪・南船場のレコードショップ「ESPECIAL RECORDS」のブースも出張出店していました。
店内に流れる音源はアナログレコード。DJによる選曲に加えて、来場者も並んだレコードの中から気になった1曲を選び、店内BGMとして流してもらうことができます。
音楽配信サービスやYouTubeであらゆる曲が簡単に聴ける時代。でも、ジャケットを眺め、帯や解説を読み、気になった一枚を選ぶ時間は、やっぱり別物です。

Technicsの最新型ターンテーブルによる個別試聴も用意されていて、気に入ったレコードはその場で購入できます。

通常のカフェ営業に近い形で、コーヒーを飲んだり、食事をしたりしている人のすぐそばに、レコードラック、DJブースが置かれている。その距離感が、まずこの企画らしいところでした。
新聞とカフェ時間から広がる、音楽との距離

テーブルには、ANTENNAが制作した新聞も置かれていました。
「大阪、円盤、まちなかであそぶ 音を楽しむAtoZ」というタイトルの通り、レコードや街、音楽の楽しみ方をAtoZ形式で紹介する内容。ONDO LANDの世界観をそのまま紙にしたような読み物。


CAFE TIMEに出演したのは、DJ TANK、DJ MISTY、Eita Godoの3人。
テーブルでフードをシェアしながら、気になるレコードを見に行く。ジャケットを眺めて選んだ1枚が、店内のBGMとして流れてくる。
クラブやライブハウスのような“音楽を聴きに行く場所”ではなく、人が集まる場所に自然に音楽がある。その感じが、昼のONDO LANDにはよく合っていました。
1時間半のインターバルを挟んで、NIGHT TIMEへ

昼のCAFE TIMEが終わると、会場はいったんクローズ。約1時間半のインターバルを挟んで、NIGHT TIMEはチケット制のイベントとして改めてスタートしました。

入口でドリンクチケットを受け取り、イベント仕様のコースターやステッカーを手にすると、昼の延長ではなく、夜のイベントに入り直した感じがあります。

出演したのは、newtone recordsでレコードバイヤーを務めるAkie、山形県出身の若手シンガーソングライター・トラックメイカー北村蕗、Kyoto Jazz Massiveとして国内外で活動してきたDJ沖野修也、アジアやヨーロッパの知られざるレコードを発掘してきた実力派のDJ&レコードディーラーのMr.Disco kidの4組。

夜のNIGHT TIMEでは、ドリンクチケットを使ってドリンクを受け取り、グラスを片手に音楽を楽しむスタイルに変わります。
年代や背景の異なるDJが並んでいたことも、この夜の面白さでした。全員がアナログレコードを軸にしながら、それぞれ違う角度からフロアをつくっていきます。

Akieは、レコードバイヤーらしい幅のある選盤で、序盤の会場に少しずつグルーヴを足していく。北村蕗は、ダンスミュージックの身体性に、歌やメロディの余韻が重なるようなプレイで、聴く人の意識を自然と音の方へ引き寄せていました。

沖野修也のプレイでは、ファンキッシュなディスコサウンドやクロスオーバーなグルーヴが前に出て、フロアの反応が一段強くなる。Mr.Disco kidは、アジアのディスコやニューウェーブ、和モノなどを横断しながら、緩急のあるミックスで会場を引っ張っていきます。
知っている曲で分かりやすく盛り上がるというより、知らない曲でも身体が反応する。誰かのレコードバッグから出てくる一枚によって、会場の流れが変わっていく。そこに、アナログレコードで聴くDJイベントならではの臨場感がありました。

テーブルで軽いフードをつまみながら音に耳を傾ける人もいれば、DJブースの前で身体を揺らす人もいる。グラスを片手に会話をしながら、ふと音の方へ意識が向く人もいる。


真っ暗な箱に入って踊るクラブとは少し違う。でも、BGMとして聞き流すだけのカフェでもない。音に身体を預ける人、会話しながら楽しむ人、じっくり聴く人が同じ場所にいることで、WIRED CAFEの中に独特の熱量が生まれていました。
音楽のあとに残った、人のつながりと余韻
DJの音で盛り上がったあと、そのまま写真を撮ったり、感想を話したり、次のイベントの話をしたりする。音楽をきっかけに、人と人の距離が少し近くなるような時間でした。
改めて面白かったのは、その時間が、普段は買い物や食事のために訪れる場所の中で生まれていたことです。
ファッションフロアの店舗が閉まり、買い物客の流れが落ち着いたあと。カフェの中ではアナログレコードの音が鳴り、グラスを片手に音楽を楽しむ人たちがいる。
本来なら買い物の時間が終わる場所で、DJの音を中心に人が集まり、夜の遊び場として成立していたこと。そこに、ONDO LANDの面白さがありました。
イベントが終わったあとも、あの光景がしばらく残っているような感覚がありました。
音楽は、もっと街の中にあっていい

個人的に、今回のONDO LANDを見ながら考えていたのは、音楽と街の距離感です。
1990年代から2000年代初頭にかけて、クラブミュージックは今よりも街の中にあった気がします。大型CDショップやレコードショップがあり、アパレルショップやカフェでも、知らない音楽に出会うことがありました。
今はサブスクやSNSで、聴きたい曲にすぐたどり着けます。
便利になった一方で、街を歩いているだけで誰かの選んだ音楽に出会い、空間の見え方が変わるような体験は、少し減っているのかもしれません。
ONDO LANDが面白かったのは、そうした音楽との出会いを、今の街の中にもう一度つくろうとしているように見えたことです。
音楽は、もっと街の中にあっていい。
ONDO LANDは、そんなことを思い出させてくれるイベントでした。

次回のONDO LANDは、2026年10月12日(月・祝)18:00〜22:00に、大阪ステーションシティ5F「時空の広場」で開催予定です。
今回のテーマは「都市の鼓動」。1日70万人以上が乗り降りする西日本最大のターミナル、JR大阪駅を“都市の心臓”と捉え、その鼓動を表現する音楽としてテクノミュージックにフォーカスした企画です。
出演は、アーティスト/プログラマ/コンポーザーとして活動するDaito Manabe、電子音楽家の食品まつり a.k.a foodman、国内外のダンスミュージックシーンで活動してきたKuniyuki Takahashi、エレクトロニック・ミュージックを軸に活動するmachìnaの4組。
チケットは前売 2,000円、U-23 1,000円、当日 2,500円です。
初回はルクア大阪7FのWIRED CAFEを舞台にしたレコードカフェ/DJフロアでしたが、次回は大阪駅の真上に広がる公共空間での開催。今回とはまた違うスケールで、街と音楽が交差する時間になりそうです。
ONDO LANDの今後の開催情報や当日の様子は、公式Instagramでも発信されています。



