超生命体の偏愛図鑑

ぴのちゃん13 さん

  • twitter
  • Instagram

BIRIBIRI MONSTER お店番(37歳)
大阪府在住/神奈川県出身

みんなの森になりたい。身体改造は「自分を好きになる練習」

⸺その改造は?
スプリットタンは、22歳で初めて一人暮らしを始めたときの記念。錦糸町の家で一人、東急ハンズで買った使い捨てのメスで切りました。身体改造に興味を持ったのは、小学5年生の頃、9歳上の長兄の部屋にあった雑誌『BURST』がきっかけ。当時飼ってたワンちゃんが亡くなったのが悲しくて、自分で左胸にハートのいたずら彫りをしたのが一番最初。ファーストタトゥーは18歳の頃。母上が入院してたときに『ブラックジャック』にハマって、「ピノコ」に衝撃を受けました。そして母上が天に還った証にと、自分でピノコの絵を描いて、出会い系で知り合った趣味で彫ってるお兄さんに入れてもらいました。「ぴのちゃん」って名前はそこから来てます。

⸺その改造のええところを教えてください。
口笛が吹けるようになった! ベロを切るまでは何回練習してもできなかったから、絶対に関係ある。みんなは関係ないと言うけれど。絶対に関係ある。身体改造のコミュニティが自分の居場所だって気づかせてくれたのは東京だけど、今住んでる布施も自分にとってすごく大切な場所。左足のタトゥーは今一番お世話になってる[elephant tattoo]のぎんさんに彫ってもらったもの。1月3日生まれだから、13っていう数字が好き。『展覧会 岡本太郎』に行ったとき、音声ガイダンスの13番がこの「犬の植木鉢」だったんです。13は左耳の後ろに彫ってる。

⸺あなたにとって改造とは?
身体改造は自分探しで、タトゥーはお守り。表現でもなんでもなくて、なんでこれやってるんだろうって今でも探してる。自分のことを好きになりたいから、改造することが自分を好きになる練習かもしれません。ぴのちゃんは森になりたい。みんなが街を歩いていても、興味のないものは景色なわけで。でも、乗り物酔いしたときに緑を見たらいいように、みんなの森になりたい。その辺にいたらホッとする場所みたいな。自分の好きを続けつつ、自分を赦してもらいつつ。

※掲載時(2024年8月22日)の情報です
取材・撮影:オカジマアヤノ